始まり
始まりは突然だった、社会に放り出されるという事態にどう対処していいのかわからないままだった。
大学院を退学した私は、実家でほかの大学院を受験できるかもという淡い期待をもっていた。
とにかく英語ができなかったので、英語さえできるようになればいいと思っていて、社会全体がそのくらいの年になると自立するんだということは、理解できていなかった。
実家では家事も手伝わず、英語の勉強に疲れたら眠るという生活をしていた、食事は毎食出てきて、洗濯もしもらえるし、お風呂だって入れる。
その、当たり前の日常が、どうやって営まれているのかなんて考えたこともなかった。
母は、私にはキチンと働いてほしいと思っていて、仕事もせず、あてもなく、毎日英語の勉強をしている姿に到底理解できなかったのかもしれない。
ある日、母は私の行動に対して、こっちの方言で「みっともない」ということを口にした。
自分がどういう立ち位置にいるかなんてしらないまま、小学生の時の感覚で、ずっと家に入れるんだと思っていた私には、母の言葉は晴天の霹靂だった。
動揺した私は、少し余分に持っていた奨学金をもって衝動的に土地勘のあった大学のあるA県まで向かっていた。実家はC県にある。
「もう、一生、家に帰りたくない」遅い反抗期だったのかもしれない。
大学まで優等生でいた、母の心ない一言がきっかけとになり、私の母親に対する不信感が一気に爆発してしまったのかもしれない。
とにかく安くてもいいからアパートを借りよう、最初にそう思ってその足で契約を済ませたのだと思う。
その次は仕事だった、とにかく何でもいいので働こう、そう思っていて、近くのドラッグストアに張り出してあった手書きの求人に応募した。
運よく採用され、A県にできてきて2週間くらいたっていたことろに仕事が決まった。
0コメント